IVYおじさん日記

50代前半でメーカーを退職したIVY大好きオジサンの、次のキャリアに向けた活動なんかを中心にした日々の気づいたことを書いていきます。

コミュニケーション

けさ、エージェントの担当者から、メールをもらった。内容は、グローバル人事の立ち上げ段階にある企業についての案件があるが、ボクのキャリアがどの程度役に立つかという確認のメールであった。

 

素直に自分の職務経歴書の該当箇所をしめし、「こことこことが役立つ経験ではないか」とストレートに回答すればよかったのだが、ここぞとばかりに「そもそもグローバル人事とは」というボク自身の考えを展開してしまった。そして結論としては、その企業の事業計画次第なのでなんとも言えない、と回答してしまったのである。

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メールを書いているときは、頭の中に浮かんでくる展開したい理論や言い分をまとめる工夫は一所懸命やっているのだが、そもそもボク自身としては、このメールがどのような意図で送られてきて、どのように対応すればいいか、などということはまったく頭から抜け落ちているのである。

 

まあ、そんな調子だから、返事を書き上げた後、送信する前に読み返してもなんとも思うはずもなく、そのまま送ってしまった。受け取った担当者としては、なにをいまさら、そんな基本的なことを上から目線で、とさぞかし心証を害されたことであろう。

 

前職を退職してからというもの、毎日ひとりで家にいる。朝カミさんを送り出してから、仕事を終えて帰ってくるまで、ほとんど誰とも会話をしない。これは、仕事をしていたときと比べて一番大きな変化である。

 

会社で仕事をしているときは、デスクワークで書類作成などに集中しているとき以外、ほとんど会社のメンバーのだれかと一緒にいて、会議や打ち合わせ、またはそれほどでもない会話を常にしている。またデスクワークの最中であっても、電話は容赦なくひっきりなしにかかってくる。思い返してみても、会社にいる時間の中で、8割くらいは他人との会話に費やしていたような気がする。

 

さらにボクは性格として30分とだまっていられないほど、話好きである。前職では、忙しいときなどは部下に迷惑がられていたりもした。それが一日中話をしない生活をもう3ヶ月以上も続けているのである。

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いまさらながら思い出してみると、ここのところ何度か受けた面接でも、とにかくしゃべっていたような気がしている。クローズドクエスチョンに対しても、Yes、Noだけで答えず、良かれと思ってさまざまな修飾をしていたように思う。さぞかし面接した方は、イライラしていたのではないか。

 

会話ができていない欲求不満は別なところで解消するようにつとめ、最低でも就活の場面では、会話の目的や相手の期待をしっかり思い起こして、一呼吸おいてから会話することにしたいと思う。

 

メールの文面を後から見返して、反省する一日であった。

 

衣替え

三連休は近場に出かけただけで、自宅でのんびり過ごした(毎日のんびりしているのだが)。家の中の片付けなども結構たまっていて、冬物がクリーニングから戻ってきてそのままだったので、一念発起して夏物と入れ替えることにした。

 

土曜の朝一番で近所のホームセンターに向かう。ムシューダの衣装カバーを買うためだ。ホームセンターというところは、朝はだいたい9時から開店しているようなのだが、行ってみるとボクのようなおじさんが結構きていた。

 

朝早く目が覚めて、家で休みになんらかの作業をすることを計画し、ホームセンターの開店を待って、それに必要なモノを買いにくる。9時から開店する理由に納得すると同時に、自分もそのひとりかと、苦笑してしまう。

 

衣装カバーを買い求め、自宅に戻って作業開始である。まずは、屋根裏部屋にある夏物を寝室のクローゼットに移動させ、そこへ冬物を収める。このとき買ってきた衣装ケースをかぶせるのである。

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衣装ケースは防虫効果があるが有効期限が1年間なので、いままで使っていたものと交換して使用する。途中まで作業をしたところ、冬物の中でスラックスとスーツ一着が就活用にと、まだクリーニングに出していなかったことがわかり、ある分だけ衣装ケースをかぶせ、冬物の収納は半分で中断。

 

つぎに寝室のウオーキングクローゼットへ夏物をセットする。最近まったく片付けていなかったので、掛かっている服はバラバラ。もう着ることのないような捨ててもいい服や、一年前にクリーニングから戻ってきたままの服、それにカミさんの洋服までまざっている。

 

さっそくすべてをいったん外へ出して、いるものといらないものに分別する。ここで肝要なのが思い切りである。こんまり先生いわく、「基準はただ一つ、ときめくかどうか」だそうで、ボクも思い切って捨てる服をチョイスしていった。

 

おつぎはハンガーの準備である。やはり片付け後の満足感や運用定着のこと考えると、見た目の美しさは重要である。スーツやジャケット用には、洋服屋でもらう厚みのあるジャケットの型がしっかりと出るものをチョイス。

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一方シャツはコスト面を優先させ、古着屋さん気取ってクリーニング屋さんでもらえるハリガネハンガーを使う。大量に同じものをそろえるには、これが一番である。

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そのようにしてできあがった2段のクローゼットがこちらである。もともとここの場所に収まっていた洋服で屋根裏部屋に入っていないものが、まだボクの部屋に山積みにおなっているが、それの手当てはおいおい考えるとして、クローゼット内の出来映えは納得のレベルである。

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これでこの夏の間は、しっかりと洋服の見える管理ができそうである。

 

CAMP小道具インプ(3)

今年はキャンプ道具をイッキに更新した。その使い心地について簡単にご紹介。

 

ジカロテーブル

snow peak社製のこのテーブルは、ステンレス製の組み立て式で重量は約10㎏。テーブルの中央が空いており、そこに同社製の焚火台(LまたはM)をセットして囲んで使えるよう設計してある。

 

テーブルはコーナーで4分割されていて、天板一つひとつは台形をしている。この台形のななめの辺を合わせ、テーブル中央の空いている側に底辺を向けて組み立てるのだが、その天板の底辺をテーブル外側に逆向きに組み合わせることで、サイズが一回りコンパクトにセットすることもできる。

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コンパクトにセットした場合、別売りの1ユニットブリッジを使うことで、同社製のギガパワープレートバーナーLIやIGTシステムBBQBOX焼武者を使うことができる。高さは400㎜とはやりのロースタイルである。

 

組み立ては、天板に脚をはめ、天板どおしを合わせ面ではめ込み、ネジを手でしめるだけのシンプルなもの。特別なコツもいらず、誰でも簡単に組み立てることができる。

 

今回はまず、焚火台を囲んで炭火でジンギスカンをやってみた。煙が出るので自宅ではなかなかできない、アウトドアならではの料理だ。ジンギスカン鍋までの距離感、手前のテーブル空間とも絶妙なスペースセッティングでこのような炭火料理にはもってこいのテーブルである。

 

使ったのは5月連休で、あいにくの雨模様、気温も手袋が欲しいくらいの感じであったので、暖をとるにもよかった。が、夏場の使用ではこれが裏目に出るかも。

 

夜はタープ下からテーブルを引き出し、薪を入れた焚火台を囲んだが、ここでは別にこのテーブルでなくともいいかという感じである。焚き火をやってしまうと、テーブルとしての機能はあまり使えず(焚き火しながら食事をするかともいえるが)、それだけのためにテーブルを購入するほどではない。

 

今回、ギガパワープレートLIも合わせて購入したが、炭火料理などやらずに、ふつうのローテーブルとしても使うのであれば、是非欲しいアイテムである。これをセットするだけで、凝った料理などをやらなければ、ほとんどのことに対応でき、ツーバーナー持参をパスできる。

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ボクもその後にカミさんと行ったキャンプでは、ツーバーナーなしでギガパワープレートと、サブでストーブ持って行くだけで十分間に合った。

 

一方難点はというと、まず収納サイズ。天板自体は台形であるが、脚が折り畳みではないので、745㎜×400㎜と脚のスペースを長方形にとってしまうのがネック。車載の荷物がギリギリの場合、積み方や持って行くグッツなど検討が必要になるかも。

 

ファミリーやグループでのキャンプでは、熱源を囲んでの食事や使い勝手の良さで、リビングを1ランクグレードアップすることは間違いなしである。そのコストとして3万2千円をどう見るかである。

 

snow peak(スノーピーク) ジカロテーブル [3~4人用]

snow peak(スノーピーク) ジカロテーブル [3~4人用]

 

 

スノーピーク(snow peak) ジカロテーブル1ユニットブリッジ ST-051

スノーピーク(snow peak) ジカロテーブル1ユニットブリッジ ST-051

 

 

スノーピーク(snow peak)ギガパワープレートバーナーLI GS-400

スノーピーク(snow peak)ギガパワープレートバーナーLI GS-400

 

 

 

 

 

第2群

今日は第2群の応募企業探しをすることにした。エージェントのマイページは毎日チェックしているが、オファーが来るのは、不動産会社の地方支店営業とか、FCオーナー募集などばかりで、ボクの登録している職種はほとんどない。

 

ボクの希望職種やポジションに一番マッチしている案件が一番ありそうなB社のマイページで検索してみる。条件は、人事職、メーカーとし、勤務地は首都圏+名古屋、大阪、広島、福岡まで広げてみた。希望年収は前職の80%の水準とした。

 

この条件で検索したところ、ヒットしたのは全部で8件。うち1社以外は上場している。企業の規模感が合わなそうな非上場の会社を除いた7社を第2群の企業とし、調べていくこととした。

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7社のうち、会社名が公表されているのは、2社のみ。一つは誰でも知っている化学メーカーで社名を伏せたとしても、勤務地でわかってしまう感じである。もう一つは、ボクも知らない会社であったが、千名強の従業員数ながら、ニッチな技術で独自の地位を築いている会社である。

 

残りの5社について、ページに掲載されている企業PR文書から、会社名が推測できた会社が2社。一つは自動認識システムなどを手掛ける会社で、ここもはじめて聞く会社名であった。もう1社はエンターテインメント機器メーカーで、その道には興味のないボクも、会社名は聞いたことがある会社であった。

 

残りの3社は、機械メーカーが2社と食品メーカーで、勤務地はそれぞれ北関東と東京である。あらかじめその会社を知っている人であれば、企業PR文書から推測できる可能性はあるが、ボクにはわかりそうもないので、今日のところはピックアップまでとした。

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会社名がわかった4社について、早速ネットの口コミサイトをチェックし、総合得点をプリントアウトする。どの会社も総合点が3点以下で評判はあまりよくない。もっともボクの前職も2.75であったので、そこは参考程度という感じ。

 

あとは、簡単に日経会社情報と業界地図で会社の情報を収集し、とりあえず収集した資料を会社ごとにクリアファイルにとじて完了である。応募して正式に面接という段階になると、クリアファイルでは収集した資料が入りきらなくなるので、紙の2穴ファイルに格上げとなる。

 

すべての会社ともB社サイトに登録しているヘッドハンターが抱えている案件である。なかには掲載日から3ヶ月近く経っているものもあるので、クローズしていて掲載をおろし忘れている案件もあるかもしれないが、明日以降、もう少し会社の状況を詳しく調べた上で、まずはヘッドハンターとコンタクトをとってみることにしたい。

 

会社名をあらかじめオープンにしてもらえると、こちらとしても話が早いのだが、まあそこは募集企業にもいろいろと都合があるのだと思う。ただ、新規事業領域のポジションなどではないので、そんなに気を使う必要があるとは思えない。やはり人事担当というのは、情報をできる限り出したがらない人種が多いようである。

 

 

CSR

先週末ビール工場を見学してきた。販促を目的とした一般向けの工場見学ツアーで、最近できたという最新鋭工場らしく、建屋が工場見学を前提に設計されていて、整然としとてもきれいで見やすかった。

 

見学の後はお決まりのビールの試飲とおみやげ。しっかりと販促戦略に載せられ、ビールセットとおつまみを購入した。

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BtoCメーカーでは、こういった自社工場を素材として工場見学ツアーを行い、販促やブランドイメージの向上などを行う企業はめずらしくない。しかし、BtoBメーカーとなると状況はとたんにかわるのではないか。

 

ボクは以前からこの工場という素材を使ってCSRができるのではないかと考えていた。工場という生産活動に使う場所や道具を地域や社会にもっとひろく公開し、教育などの教材として利用できるよう、積極的に解放するのである。

 

工場の先頭工程に投入された素材や製品が、最終工程から製品となり出てくる姿は、製造工程によって付加価値を与えられるというメーカーの活動を目で見ることができ、産業の仕組みや原理といったことを理解するための格好の素材である。近隣地域の小中学校の社会科見学や高校大学の授業、ゼミの研究など教材としてのニーズは高い。

 

BtoB、いわゆる企業向けに製品を製造、販売しているメーカーは、会社の規模や技術力、経営成績に関わらず、一般の人々に対する知名度はほんとうに低い。それは、知名度だけの問題にとどまらず、採用であったり、働く従業員のロイヤルティなどにも少なからず影響する。

 

会社を説明するのに、まずどのようなモノを作っていて、それが世の中の何に役立っているのか、ということからはじめなければならない。

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メーカーに勤めていると、毎日見慣れていて、仕事の場所であり道具そのものである工場だが、一般の人々からすると工場というのは、常日頃見たことのない、非日常的な特別なものであり、製造マシンやロボット、ベルトコンベアなどが整然と配置され、休みなしに動いている姿はハイテクの塊に感じられる。

 

CSR(企業の社会的責任)というと、ボランティアだとかさまざまなイベントへの参画などを思いうかべがちであるが、その企業だからこそできる、その企業でないとできない、そういったことや価値を社会に提供していくことが、CSRの本質だと思う。

 

そして活動を地道に続けていった結果として、それが企業イメージの向上やブランドの浸透、従業員のロイヤルティ向上などに結びついていくのが、株主も納得するもっとも質の高いCSR戦略なのではないだろうか。

 

前職ではこの持論を実行せずに終わってしまったので、またもしBtoBメーカーに縁があったならば、次は是非提案して実行してみたいと思う。

 

 

第1群振り返り

先週面接を受けてきたことで、6月からスタートした就活の、第1群ともいうべき企業すべてに対して、何らかのアクションを取ることが完了した。ここらへんで現在まで1ヶ月半の活動状況を振り返ってみようと思う。

 

コンタクトをとったヘッドハンティングや人材紹介などのエージェントは全部で8社。そのうち具体的な企業の紹介、オファーが全部で48社であった。ちなみにメールなどで多数に配信されているものは数えていない。

 

その中から応募の意思表示をした会社が6社、面接まで進んだ会社が3社である。うち1社は一次面接でのやり取りの中で、ボクの考え方と会社の方向性が合わないと判断したので、辞退をさせてもらった。現在選考が続いているのは2社ということになる。

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エージェント8社のうち、2社がヘッドハンティング専門の会社である。友人に紹介された会社ともう一方は、B社のサイトに登録したところ、ボクの経歴を見てオファーメールをもらい、お付き合いがスタートした会社だ。

 

このE社は業界大手のグループ会社で、幹部層に特化した会社であるが、とにかく優良案件を多数持っていて、圧倒的な提案力である。現在まで14社の提案を受け、2社の面接を受けさせてもらった。電話などでこまめにフォローしてくれる唯一の会社でもある。

 

最近TVCMなどでよく見かけるB社は、自社の紹介案件というよりも、ヘッドハンターが多数利用していて、その方面からのアクセスの方が、ボクのような年令やポジションの場合は主流のようである。

 

D社は採用企業に対し、使い勝手のいい応募者管理用のwebシステムを提供していて、ボクも前職のときはずいぶんお世話になったが、求職者の立場から見ると、あまり商売上手とはいえないようだ。サイトに経歴書などを登録し、エージェントサービスやスカウトサービスにも登録したのだが、担当者が忙しくて面談ができないという。ちなみに面談がなかったのは、ここと前述のB社の2社だけである。メールは毎日大量に送られてくるのであるが、内容も登録者全員に向けた感じで、最初の2〜3通を見た以降、読みもしなくなってしまった。

 

A社は、人材派遣系の会社ということもあり、近所のオフィスで対面の面談をしてくれた。ここが提案企業数ではトップの26社である。そのうち1社に応募をしたが、惜しくも充足したということで、面接には至っていない。ただ、提案企業の内容という点では、E社に見劣りするようだ。

 

P社は6社ほど提案してくれたが、内容はどれもイマイチで、その後は音沙汰がない。

 

J社は、面談は電話でしたものの、その後1社の提案もない。もっともネットで登録してから最初の連絡がきたのが1週間後で、面談も遅かった。

 

R社は業界大手の紹介部門だが、ここのスピード感がもっとも遅いようだ。事前に口コミなどでは見てはいたのでやはりという感じである。企業からの求人取扱い数は最大のようなのだが、それが逆にネックになって、案件をさばききれていないようである。

 

以上、エージェント8社をはじめて利用させてもらったボクなりのファーストインプレッションである。やはり高年齢層、幹部クラスのポジションという案件では、ヘッドハンティング会社の方が圧倒的に求人案件をかかえており、また、そのクラス特有の採用方法などにも慣れているので、話も速い。

 

一方、通常の人材紹介は20代後半から30代がメインターゲットであり、ボクのような案件は得手ではないようである。

 

第1群の活動もひと段落したことであり、第2群の企業選びとエージェントへの接触をスタートしたいと思う。

 

等級制度(3)

3.役割等級制度

前々回まで2度にわたって等級制度について考えてきた。今日はその3回目として、役割を基軸とした制度についてとりあげたい。

 

そもそも役割等級制度というのは、1980年台後半に米国で開発、導入されたののがはじまりといわれている。職務等級制度が主流であった米国では、職務記述書に書いてあることしか行なわず、組織として不活性となり日本企業の後塵を拝してしまったことを反省し、職務等級制度のデメリットを解消しようというのがきっかけであった。

 

この制度でいう役割とは一般的に「仕事上の責任を果たすために、自らが考えすすんで行動すべき内容を、職務記述書よりおおぐくりにしたもの。組織や個人が期待されている非定型的な行動も含まれる」というものである。

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メリットとしては、職能資格制度と職務等級制度のメリットとデメリットを平均してあいだをとったような感じである一方、デメリットとしては、役割の定義というのがわかりにくく、従業員に対してしっかりと考え方を浸透させるには、相当の運用力が必要ということである。

 

役割等級制度の本来の姿とは、この仕組みの成り立ちにもあったように、職務給のデメリットを解消しようとしたのがきっかけである。職務を見直す中、顧客視点でビジネスプロセスの再構築(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング:BPR)を行い、それまでの職務等級制度の弊害であった縦割りの業務に、横ぐしを通すようにプロセスを見直すことを役割とし、プロセス自体に組み込んで行った。

 

したがって、経営戦略に基づいたBPRを実行していることが、役割等級制度の前提条件であり、それを行っていないものは役割等級制度とは呼べないのではないか、という意見もある。

 

実際役割等級制度については、わが国でも導入事例はかなりあるものの、内容や実態を見ていくと、部長、課長といった従来の職位を単に役割と呼んでいるだけであったり、職能資格制度とほとんど変わりがないのに役割と名前を変えただけで、基準はよく見ると能力であったりという会社もすくなくないようである。

 

役割等級制度を考えていく上では、まず顧客にとっての価値の最大化のために、どのような仕事の流れ(プロセス)で行うのが最もいいのか、という視点でBPRを行った結果が役割等級制度であり、それが人事制度としても機能し活用されていくという観点で、一度制度を勉強してみることも必要なようである。