IVYおじさん日記

50代前半でメーカーを退職したIVY大好きオジサンの、次のキャリアに向けた活動なんかを中心にした日々の気づいたことを書いていきます。

公告の方法

公告とは

会社のコーポレート部門にでもいないと聞きなれない言葉であるが、辞書を引くと「国または公共団体が、ある事項を広く一般に知らせること」とある。コマーシャルの広告とは「法令上の義務により特定の事項」を知らせるということが違う。

 

会社法で株式会社にも公告すべき事項が定められている。

・官報で行わなければならないもの

 合併公告、資本金の額の減少公告、解散公告など

・定款で定めた公告方法によるもの

 決算公告、株券提出公告、基準日設定につき通知公告など

 

このうち当面(というかよほどのことがない限り)関係があるのは、「決算公告」である。これだけは毎年一回かならずやってくる。ただ、決算公告といっても大会社(資本金5億円 or 負債200億円)以外は、BS(貸借対照表)のみでいい。

 

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公告の方法

公告の方法は、官報によるもの以外に以下の2つがあり、官報以外の場合、定款で定める必要がある。つまり、定款で定めておかないと自動的に官報で行うことになるのである。

・日刊新聞紙(時事に関する事項を掲載するもの)
・電子公告

 

費用面を調べてみると、官報で約7万円、日刊紙だと最低でも10万円以上である。一方電子公告は自社のHPに掲載すればよく、ほとんどコストはかからない。

 

ただ、電子公告にする場合は、他の方法と違って制約条件が付く。一つはBSの要旨のでなく全文を掲載する、そして過去5年間分を掲載し続けるということだ。また決算公告以外はHPに載せたことを調査会社にお願いして証明しなければならず、その費用も10万円以上だという。

 

よって定款の内容を固めるにはどうしても公告の方法を決めなければならず、いろいろと調べてみた。

 

どうもやられていないようだ…

身近で起業している先輩や税理士に訊いてみてもはっきりとした回答はない。いろいろな会社のHPを見てもBSなどなにも載っていない。

 

ネットで検索してみると、「【実態調査】決算公告はしなくてもいい?実際とルールを解説」とか「経営者の皆さんにお尋ねします。決算公告をしないのは何故ですか?」など、驚くようなページがたくさんヒットした。

 

決算を含めた公告を怠ると、100万円以下の過料となっているが、実態はほとんど行われていないようだ。2001年の会社法改正でネットによる掲示が可能になったとき、全国中小企業団体中央会がネット公告を同会のサイトで請負うサービスをはじめたが現在にいたるまで利用は年間150件程度にとどまるという。

 

また、業界筋によると決算公告を行っている企業は株式会社全体の数%にとどまっているという。

 

うわさでは法務省の担当者に過去に公告をしないで行政罰がくだされたことがあるかとの問い合わせに、「記憶がない」との回答だったという。日本の株式会社は百万社以上あるといい、いちいちチェックをして過料を科すということ自体、物理的に不可能である。

 

ボクの場合

この事実を知り、ボクはあいかわらずバカ正直だなと反省した。法律をないがしろにするのがいいという意味ではなく、あたまから社会のみなさんは法律を守ってあたりまえと疑いもせず、一所懸命毎年決算公告を出すにはどんなやり方がいいかと調べ考えていたのだ。そこにやっていないという選択肢はなかった。

 

こんな話むかしはたくさんあったものである。日本は本音と建前が多い国で、法律でダメだとみんな知っていながら、黙認されていることがたくさんあった。

 

たとえは、新入社員当時の上司は春になると総会屋さんと麻雀しに行くのが仕事だと言っていた。ほんの20年くらい前までは、田舎にいくと居酒屋に駐車場が完備されていて、飲酒運転で捕まっても運が悪い程度のノリだった。

 

しかし時代とともに価値観は変わってくる。ハラスメントなどがわかりやすい例だろう。そういった世間の変化を敏感に察知して真摯に受け止めて対応していくことが、現代を生き抜くための必要な能力のひとつなのである。

 

ほとんどの会社がやっていなくても、いまやコンプライアンスは企業運営の必要条件である。多少手間がかかったり、経営成績が悪いときにはずかしい思いをするかもしれないが、決算公告はHPに載せることにしよう。

 

ちなみ基本、公告は官報にしておき、決算公告のみHPに掲載することは、URLを登記すればOKで、もっともリーズナブルな方法だ。この方法で行くことしたい。