労務相談
初相談
先日はじめて商談をしたとこのブログに書いた。その会社とは、まだ起業前なので、お試し期間ということで、相談案件があったら、連絡をもらうということになった。担当者との顔合わせから1週間が経ったので、メールを入れるとさっそく相談をくれた。
内容はアルバイトの雇用契約と社会保険の適用、有休の付与などといった一般的なものであった。ボクも労務の第一線をはなれて久しく、しばらくぶりで案件の検討をすることになった。
労務案件の対応を考える上でのポイントは、問題となっている人や事象を、その状況を会社と雇用される人という観点で見たときに、関係する法律ごとにもらさず検討していくということである。
検討すべき法律
今回の案件で考えると、雇用をするということなので、まずは労働基準法、それから社会保険の健保、厚生年金、労働保険の各法律、そして労働基準法の関連法規といった具合になる。
いままでの経験で、案件の内容からどの法律に書いてあるどの部分が、ポイントだということはだいたいわかる。たとえば1日8時間の正規社員と同じ時間を働き、週4日勤務だとすると、社会保険の加入要件には該当するか?有休を付与する必要があるか、何日をどのタイミングで付与するのか、などといったことである。
ポイントはすぐに浮かぶのであるが、その法律の細かな日数や時間などの基準は?ということになると、これは専門書をめくらなければならない。担当レベルでいつも同じような案件を処理していれば覚えていることもあろうが、覚えるよりもきちんと調べた方が確実である。
また最近、労働関連法規は毎年のように改訂がされている。なので、たとえ覚えていたとしてもきちんと調べて最新の内容を確認すべきである。
専門書
ここで、ボクがいままでの経験でお世話になって、役に立った参考書をいくつかご紹介したい。
わかりやすい 労働基準法の手引|商品を探す | 新日本法規WEBサイト
これは、労務のイロハのイと言っていいと思う。労基法を確認するにはまずこの本からである。この本は加除式といって法律改訂があると差替え部分を送ってくれるので、常に最新版であることがありがたい。
多少こみ入った案件を法律条文の解釈も含めて検討する場合にとても役立つ。ただし、掲載内容が判例があるものに限られる傾向があるので、裁判に至っていない案件だとカラ振ることも。
「〇〇の法律実務シリーズ」である。これは法律の構成や内容を極めたいときにとても役立つ。実際ボクはこの本で三六協定や変形労働時間制、有休休暇などの法的な考え方や建付けを理解した。このシリーズはぜひ全部そろえたいものである。
税金の関連は、給与計算でも担当しない限りなかなかハードルが高いが、一方で労務に関連する税金の取扱いは、しっかりと理論武装をしておかないと、数年ごとにやってくる税務調査で指摘されて、後処理がたいへんなことになる。難解な税法を労務管理という観点でまとめた良書である。ただし、改訂版が出ていないのは残念。
おそらく前述の「人事労務関係の税務」の後継本として出されたと思われる。ただ、人事労務関係の税務の方が深くてわかりやすかった。ので両方をそろえることをおススメする。
これは最初見たときに目からうろこであった。どこの会社でも起きがちな案件を取り上げて、法的解釈と対応が書かれている。続編が出ていることからも、その人気ぶりがうかがえる。
ちなみに社会保険の参考書がないと気が付いた方もいるだろう。そうなのだ。社会保険の参考書を探したのだが、古い記憶なので見つからなかった。これから自分で購入しなければならないので、その際にご紹介したいと思う。
さらにもう一歩
相談をもらったのは、アルバイトの雇用に関するものであったが、その後働き始めてからのことを考えると、いろいろ懸念される点が出てくる。
たとえばアルバイトで入った後、そのまま正規社員になったときの有給休暇付与のための勤続年数を算出するための起算日であったり、就業規則に定められている試用期間をそのまま適用して大丈夫か?などと、いろいろ心配な点が思い浮かんだ。
その点についても、しっかりお伝えして、ここは間違いやすいかったり、忘れてしまったりするポイントなので、説明を付け加えておいた。
この+αをボクの付加価値として磨いていきたいものである。