IVYおじさん日記

50代前半でメーカーを退職したIVY大好きオジサンの、次のキャリアに向けた活動なんかを中心にした日々の気づいたことを書いていきます。

扶養家族

来月からお世話になる会社への手続き書類を準備している。民間の会社であるから、人事管理の都合上、必要となってくる書類が基本だが、法律の定めによって必要な書類も多い。所得税社会保険に関するものである。

 

ボクには大学生になる息子がいる。彼を健康保険の扶養にするには在学証明書と地方自治体が発行する直近の非課税証明書が必要となる。

 

一方所得税の扶養に入れるには、毎年年初に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に氏名その他を記入し提出すればOKである。扶養に入れる手続きがその仕組みによって違ってくるのである。

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手続きだけではなく、扶養に入れられる基準も仕組みによって異なる。所得税は扶養される人の年令や職業などに関係なく所得金額をもって線引きをし、対象期間も1月から12月という暦上の1年としている。

 

例えばパートやアルバイトなどの給与所得だけであれば、通勤費などを除いた課税対象となる収入金額が、1月から12月の間に103万円以下かどうかで決まってくる。ここでいう収入金額には、一定の基準を満たした通勤費や失業給付などは含まれない。

 

健康保険は、年間収入が130万円未満であり、基本的には配偶者、18才未満の子、60才以上の家族となっており、18才以上60才未満の場合は本来は就労可能なので、就労できない状態にあることを証明し、被保険者が生活費のほとんどを援助しなくてはならない状態にあることを証明する必要がある。こちらは通勤費や失業給付などは収入とみなされる。対象期間も異なり、直近3ヶ月の実績から将来1年間の見込みを予想する。

 

健康保険はこのほかにも書き上げるときりがないほどの細かい基準があり、扶養したい家族の状況に応じてさまざまな証明書類が必要となる。

 

ボクは会社に入社してから10年近く給与計算を担当していた。その中には、健康保険料を毎年一回定期的に見直す「算定基礎届」や固定的な給与が大幅に変わった場合に行う「月額変更届」の計算もあった。

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当時から考えていたのだが、このような管轄省庁が異なる制度の基準を一本化することで、事務作業を減らすことができる。我々民間の事業者が行っている事務作業もそうであるし、届出された作業結果を処理する作業も軽減される。

 

例えば健康保険料の算出基準を前年度の所得金額とすることで、前述の算定基礎届や月額変更届の計算、作成、提出の作業がなくなる。扶養についても同様で給与支払いを受ける際の申告書への記入、提出だけにすると、その他の膨大な証明書類が不要になる。

 

制度によって趣旨や目的が異なるのはわかる。しかし、一千兆円を超える財政赤字を抱えている国の行政が、このような効率向上のための工夫をせずに赤字が増えることを漫然と見過ごしていいものであろうか。

 

健保や所得税法の基準を見直すことで、日本全体で一体どれだけの人件費が削減され、企業の生産性や競争力があがり、公務員が削減され財政の健全化に寄与するか考えるべきだと思う。

 

前述のようなちょっとした基準の違いを見直すだけで、届け出や業務が一本化され、効率が上がる行政事務はもっとたくさんあるのではないだろうか。現場目線で「カイゼン」をし、財政支出の健全化をすすめて欲しいものである。