男の服装術 -その3- ブレザー
今回は“ザ・IVYワードローブチャンピオン”といわれる、ブレザーについてである。
ブレザーの語源は、ボート部のクラブウエアだった赤のブレザーが川の水面に映ったのを見てあまりの美しさに思わず「blaze =炎」と叫んだことにあると言われている。
このジャケットほど着こなしの幅が広く、重宝するモノはない。プレスのきいたボタンダウンシャツにレジメンタルタイを合わせ、グレイのウールスラックスとウイングチップを合わせれば、固めのビジネスシーンもほとんどOKである。また、ポロシャツにコットンパンツ、デッキシューズを合わせれば、避暑地のレジャーやちょっとしたパーティーまでオールマイティに使える。
そんな定番中の定番、ブレザーの基本ディティールを見ていきたい。
ナチュラルショルダー
IVYジャケットの基本中の基本。肩パッドなしか、うすいパッドを少し入れただけの自然な肩線。IVYジャケットの要といえる。
パッチポケット
ドレッシーな場合、普通型のウエルト・ポケットもあるが、こちらの方がよりスポーティーな感じに。エンブレムを付ける場合はパッチポケットがマストである。
三つボタン段返り中一つ掛け
ブルックス型とも呼ばれ、古来ブルックスブラザーズの上着に特徴的なスタイルであった。オーセンティックなIVYモデルでは、少し前に我が国で流行った、上二つ掛けもマニアには根強い人気がある。
メタルボタン
所属団体やメーカーブランドなどのマークや紋章などを彫りこんだ金属製。
ストレートハンギング
前ダーツなしのジャケットシルエット。この胸ぐせの省略がIVY独特の直線的シルエットを形成している。
パッチ&フラップポケット
スポーツジャケットから借用してきたとされるこのタイプのポケットでスポーティーさがぐんとアップする。
フック・ベント
上二つ掛けとセットともいわれ、段返りモデルの場合は、まっすぐなセンターベントという説もある。しかしブレザーにはモーニングなどにも使われているクラシックなベントをいただきたい。
素材は、ウールフランネル、夏物ではサマーウールの代表トロピカルで行きたい。
以上がボクの考えるブレザーの基本形である。最近はネイビーのブレザーが見直されてきて、さまざまなディティールのモノが出ており、好みにあったものをチョイスすればいいのだが、その際に基本形を押さえておくだけでも見方が変わってくると思う。
IVYのディティールというのは、基本に忠実で装飾が少ない分、さわやかでストレートな印象を与えてくれる。この周囲に不快な感じを与えないという、服装術の基本をこのIVYブレザーのディティールで学ぶことは重要なことではないだろうか。