IVYおじさん日記

50代前半でメーカーを退職したIVY大好きオジサンの、次のキャリアに向けた活動なんかを中心にした日々の気づいたことを書いていきます。

等級制度(3)

3.役割等級制度

前々回まで2度にわたって等級制度について考えてきた。今日はその3回目として、役割を基軸とした制度についてとりあげたい。

 

そもそも役割等級制度というのは、1980年台後半に米国で開発、導入されたののがはじまりといわれている。職務等級制度が主流であった米国では、職務記述書に書いてあることしか行なわず、組織として不活性となり日本企業の後塵を拝してしまったことを反省し、職務等級制度のデメリットを解消しようというのがきっかけであった。

 

この制度でいう役割とは一般的に「仕事上の責任を果たすために、自らが考えすすんで行動すべき内容を、職務記述書よりおおぐくりにしたもの。組織や個人が期待されている非定型的な行動も含まれる」というものである。

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メリットとしては、職能資格制度と職務等級制度のメリットとデメリットを平均してあいだをとったような感じである一方、デメリットとしては、役割の定義というのがわかりにくく、従業員に対してしっかりと考え方を浸透させるには、相当の運用力が必要ということである。

 

役割等級制度の本来の姿とは、この仕組みの成り立ちにもあったように、職務給のデメリットを解消しようとしたのがきっかけである。職務を見直す中、顧客視点でビジネスプロセスの再構築(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング:BPR)を行い、それまでの職務等級制度の弊害であった縦割りの業務に、横ぐしを通すようにプロセスを見直すことを役割とし、プロセス自体に組み込んで行った。

 

したがって、経営戦略に基づいたBPRを実行していることが、役割等級制度の前提条件であり、それを行っていないものは役割等級制度とは呼べないのではないか、という意見もある。

 

実際役割等級制度については、わが国でも導入事例はかなりあるものの、内容や実態を見ていくと、部長、課長といった従来の職位を単に役割と呼んでいるだけであったり、職能資格制度とほとんど変わりがないのに役割と名前を変えただけで、基準はよく見ると能力であったりという会社もすくなくないようである。

 

役割等級制度を考えていく上では、まず顧客にとっての価値の最大化のために、どのような仕事の流れ(プロセス)で行うのが最もいいのか、という視点でBPRを行った結果が役割等級制度であり、それが人事制度としても機能し活用されていくという観点で、一度制度を勉強してみることも必要なようである。