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IVYおじさん日記

40代後半でメーカーを退職したIVY大好きオジサンの、転職活動なんかを中心にした日々の気づいたことを書いていきます。

等級制度(2)

前回の職能資格制度に引き続き、等級制度について考えていきたい。

 

2.職務等級制度

仕事やポジションごとにその価値と職務範囲(job description)を定め、それを機軸に序列化するもの。これらの作業を行うことで、難易度や重要度といった価値(=報酬、処遇)が明確になるので、契約社会である欧米ではもっともポピュラーな制度である。

 

この制度を運営していくためには、社内にあるすべての仕事、ポジションに対し職務範囲とその内容を定義し、かつ新しい仕事ができたときや定期的にもメンテナンスが必要となってくる。また、それらの成果物である職務記述書の作成とそのプロセスとして、職務分析、評価を行うには、相当の知識と熟練が必要である。

 

また、それだけでは組織や仕事は現実的にうまく回っていかない。どうしても仕事のさまざまな場面においては、職務範囲どうしの間にすきまができてしまう。ここをしっかりフォローし埋めていくのは上司、マネジメントの役割であり、ここがこの制度の運用ポイントとなる。

 

実際、前職で海外現法の責任者を経験した人からは、現地人のマネージャーはそのすきまを埋めることに非常に神経と労力を使っており、その役割はとても日本人駐在員にはできないという話を聞いている。

 

メリットとしては、まず第一に職務と賃金がマッチすること。職務評価の基準を公開することで、賃金に対しての納得感が高くなることである。またすべての仕事に対して職務記述書を作成するので、ムダな仕事がなくなる。その仕事ができる人には、いくらの報酬を支払うということが明確なので、仕事に就くためには専門性を高める必要があり、スペシャリスト育成に効果があるといわれている。そして、仕事と報酬が最もマッチするので、人件費はもっとも抑えることができる。

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一方でデメリットとしては、次のとおりである。

 

仕事やポジションに対して報酬を支払うので、日本企業が得意とする会社命令による異動や組織変更はむずかしく、メンバーや組織が変わらず硬直化しやすい。また、職種が変わらない限り賃金はそのままなので、仕組みをしっかりと理解させないと不満につながりかねない。

 

欧米では、キャリアを形成するために転職を繰り返すのは、この制度がベースにあるからで、例えば、数年後に営業のエリアマネージャーになりたいと考えるならば、エリアマネージャーに必要な経験は何かということになり、現在の仕事やポジションでそれが得られないとなれば、それが経験できる会社に転職をして自らキャリアを形成していくのである。このような雇用の流動性があれば、前述の組織、職務の硬直化もかなり緩和されると思われる。

 

仕事が変わらない限り賃金は変わらないことのもう一つの弊害は、ポスト不足に対応できないということもあげられる。そしてもっともハードルが高いのは、職務分析、評価、記述書の作成、メンテといった運用に高い専門性と多大な労力が必要ということである。

 

このようなデメリットを受け入れても、メリットを得ることで十分プラスを得られるかを検討することが必要だ。また、長期勤続による技能伝承や幹部社員の社内育成などとは相性がよくないので、企業の事業戦略にとってどのように人的資源を供給していくのか、という戦略的視点からの検討も必要となってくる。

 

次回は、役割等級制度について考えていきたい。