IVYおじさん日記

50代前半でメーカーを退職したIVY大好きオジサンの、次のキャリアに向けた活動なんかを中心にした日々の気づいたことを書いていきます。

等級制度(1)

先日の「人事の目的」に続き、人事制度の概要についてまとめてみたいと思う。人事制度の大きなフレームは、等級制度を中心に、昇格制度、賃金制度、評価制度、教育制度の5つが有機的に関係しあって構成されている。まずは、その中心のなる資格制度について考えていきたい。

 

等級制度とは、資格制度、グレード制度などともいい、会社に働くひとり一人の従業員を、何らかの基準に基づき、グルーピングし、序列をつけていくことである。この従業員をどこかのグループに入れることを格付けという。会社が仕事をお願いしたり、役割(ポジション)をお願いしたり、処遇を決めたりなど、事業遂行のために、人という資源を効率的に有効活用していくための手段となる。

 

その種類を大別すると、何をスケールにしてグルーピングをするかにより、3種類に分けられる。職務遂行能力により区分する職能資格制度や仕事の難易度や重要度を基準にして区分を行う職務等級制度、さらには期待される行動様式の発揮レベルを基準にして区分する役割等級制度などが一般的である。

 

これらスケールのたて方についても、一つの基準で全部の従業員を格付けする場合もあれば、職種ごとや働き方、またある一部の階層だけを複数の基準にするなど、さまざまな組み合わせがある。社内で働く人々や働き方そのものの多様化が模索されている中、今後ますます、等級制度は働き方にあった組み合わせが考えられていくと思う。

 

それでは、さきほどあげた3つの資格制度について、一つずつ見ていきたいと思う。

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1.職能資格制度

従業員の職務遂行能力(職能)を基準とするもの。ここでいう職能とは、顕在化しているものだけではなく、潜在的な能力も含む。1969年に当時の日本経営者団体連盟(日経連、現在の日本経団連)が発表した『能力主義管理-その理論と実践』で提唱し、わが国企業に広く浸透した。

 

職能は各職種ごとに能力保持の判定基準となる職能基準書の整備が必要となる。この基準書は、また逆に能力伸長の目指す目標ともなるので、OJT(on the job training)マップとも呼ばれている。

 

メリットとしては、従業員の能力伸長に応じて、等級を引き上げていけるので、ポスト数に制約を受けずに処遇ができることである。一方でデメリットとしては、従業員の保有している能力レベルに見合った仕事を割りつけられないと、人件費の増加を招いてしまう。組織が成長期にあり、能力伸長に応じた新しい仕事が割り付けられる場合、制度の管理にあまり工数がかからないので、運営が楽である一方、均衡や縮小のフェーズでは、人件費の増加要因になってしまうので注意が必要である。

 

長い時間をかけて従業員が技術を身につけ、育てていくような業種には向いている制度である。

 

残り2つの制度については、次の機会にまとめていくこととする。